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出会ってしまった二人

私には何度も読みたくなるインタビュー記事がある。

2014年にアルバム「ATTACK25」を発売したDREAMS COME TRUE中村正人が、
吉田美和という才能をいかに生かし、「ドリカム」ブランド価値を保ち続けるか、「アートとビジネスのせめぎ合い」に答えたインタビューである。
http://natalie.mu/music/pp/dreamscometrue02/page/13

仲介役もおらず、多数決もとれない、才能と信頼がなければ最少人数のグループ、二人組は存在し得ない。

いつ1になるか、存在が0(ゼロ)になるかもわからない二人組に私たちはいつも魅了される。

今年CDデビュー20周年に突入するKinKi Kidsもそのうちの一組だ。

堂本光一 1979年1月1日兵庫県生まれ
堂本剛  1979年4月10日奈良県生まれ

学年が1つ違いの少年二人は25年前、同じ堂本の姓を持ち、関西生まれというシンプルな理由で二人組になった。
今思い返すと彼らを作り上げたジャニー社長はどちらかといえば、大人数のグループをつくる傾向がある。
CDデビューさせる際、それまでジュニア時代にあったグループを変えることだってある。摩訶不思議な感覚を持ち合わせているが、KinKi Kidsは、二人のままである。

関西生まれの堂本姓――
そのシンプルな理由は他の誰かが持つどんな要素も受け入れなかったのだろう。
これを運命と呼ぶ人も多い。

そんな不思議な縁を持つ彼らを説明するために少しだけお付き合いいただきたい。

1997年7月21日
ジャニーズのデビュー曲にしては明るいとは言い難い、「硝子の少年」から物語ははじまる。
松本隆山下達郎によって、二人がもつ儚さや哀愁が明確になった。
代表曲となったこの曲はその後の彼らの核といってもよい。どんなに明るい恋愛ソングでも、別れの歌ではないか、といわれるほどだ。
そして、その後彼らは自らも歌を作り出す。
今やジャニーズ事務所の後輩や多くのアーティストに歌われている「愛のかたまり」が発売されたのは2001年、当時22歳。

恋をする女性が持つ繊細な心を剛が文字に、光一は音に全てを表現した。
「あまりに愛が大きすぎると
失うことを思ってしまうの
自分がもどかしい
今だけを見て生きていればいいのにね」

一見正反対な二人だが、歌声の相性は抜群だ。ユニゾンでもどちらが主旋律になっても、
美しい。彼らの歌声が好き、という男性ファンも少なくはない。

その後も多くの楽曲を提供され、自分たちでも音楽を作り続けている。

彼らが日本を代表するアーティストたちに楽曲を提供され続け愛されるのは、彼ら自身が音楽を愛している他にもとても大事な要素がある。
それは彼らに「物語」があることだ。
冒頭に述べた、関西生まれの堂本性の二人組、そして性格も相反する二人組、こうした要素が
想像させるのである。

どんな歌を歌わせようか、どんな歌詞を歌わせようか、と。
彼らの楽曲を聞くとどうも、二人に重なる部分が多い印象を受ける。
それはたまたまではない、きっとアーティストたちがKinKi Kidsに物語性を感じているからだろう。
20歳のキンキには、30歳を過ぎたキンキには、何を歌わせようか、こんな歌がいいんじゃないだろうか、きっとそんなことを想像しながら作っているに違いない。

それはファンも同様である。KinKi Kidsのファンにはクリエイターが多いような印象を受けている。イラストを描き、グッズを作ってしまう……きっと創造性を高めてくれる存在なのだろう。

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時は経ち2016年5月5日。彼らが出会って25年になる。

今彼らは各々に才能を開花させている。

一人は音楽に
一人はエンターテイメントを
常に追求しており、その没頭する様子はまさに少年のようだ。
時にファンが、ジャニー社長が心配するほどだ。

彼らをよく知らない人々は、この二人は相性があうのかという疑問をもつだろう。
しかしある点は確実に共通している
「“あなた”に伝えたい」
ということだ。

誰かではない、不特定多数の人にでもない、
チケットを買い目の前にいるあなたに
ペンをとりファンレターを書いたあなたに
何かしらを伝えたいと考えているように思える。

幸か不幸か彼らは若いころ、飽きるくらい「不特定多数」に好かれた。
だからか彼らは「実感」したいのではないか、と思うことがある。
自分の歌声で、自分のパフォーマンスで、
ファンを魅了したい。魅了された人を感じたい、と。
だからこそ、ライブハウスや舞台を好んでいるような気もしている。
光一がよく言う「見えていませんが、感じてます」というのは冗談も含まれているが、意外と本音なのかもしれない。

さて彼らはいまからあなたに、何を伝え、紡いでいくのだろうか。
2016年がそしてこれからがKinKi Kidsにとってどんな日々になるのだろうか。

私は彼らの運命を信じたい。